日本人の中にはヨーロッパの文化や食生活にあこがれを持っている人がいるかもしれない。ヨーロッパとひとくくりにして話すのは暴論だけれども、結論としてはヨーロッパの食文化は豊かであるとはいえる。が、ヨーロッパは結構広く、豊かな食文化圏とそうじゃないところがあり、話はそう簡単ではない。またどんな生活スタイルを取っているかでだいぶ変わってくる部分もあると思う。はっきり言えるのはもしあなたが低所得者であるならばヨーロッパのどの国でも旨いものに恵まれた生活はできない、と言える。特に外食する場合日本ほどレベルの高い食文化をもった国はおそらく世界中のどこにもないと思う。どういう事かというと、日本の場合1000円弱出せばかなり多くの種類の料理でそこそこ美味しいものを食べれるから。つまり低所得者であっても結構おいしいものを食べていくことができるのである。
こんなことを書くと「ポルトガルやギリシャで食べた料理は価格は手ごろな割に安いよ」と言いたくなる、世界各国を良く旅する人がいるかもしれない。確かにそれは間違ってはいない。ポルトガル、ギリシャ、その他の南欧に属する国は食材も北ヨーロッパよりも多くそのため食文化はそこそこ豊かで、一方経済的には中進国のため日本と比べても割安でおいしいものを食べられるところも結構ある。また外食だけでなくスーパーなどの食材も日本と比べても相対的に安く、少し足を延ばして生鮮食品市場などちょっとこだわりのあるお店に行けば日本で買うと高そうな変わった食材が割安で変えることも少なくない(もちろん逆の現象もあって、例えば豆腐は安ければ50円で日本で買えるがヨーロッパだと日本円で200円前後はする。とはいっても別に極端に高いわけではないので私も時々買いますが。)。

特に南欧で言うならイタリアの食文化は突出している。たいてい何を食べてもおいしい。たまに不味いものもあるけど、おいしい事のほうが多い。ローマやミラノのような観光地の中心だと料金が高いがそれでも不味いという事はあまりなく、郊外やあまり観光地化されていない地方の名所エリアなどにある見かけは普通の小さなレストランでも予想しなかったような料理法や食材を使ったメニューが割安であったりするので、治安などに気を付けて行動するなら郊外にあるこのようなレストランにぜひ足を運ぶべき。
しかしそれでも日本のほうが優位なところがある。それは日本国内だと本家日本料理だけではなくイタリア料理やフランス料理、そして中華料理までおいしく、しかも日本独自に発展させていたりしてその料理の出身国の人が見たら苦笑いするような料理もあるがそれでもかなり美味しい。このように、どんな国の料理でも1000円弱で結構本格的でおいしく料理を食べれる国はやはり日本ぐらいだろうと思う。例えばヨーロッパの中華料理屋はまずいことで有名である。ヨーロッパ人にとっての中華料理というと食べ放題のブッフェ形式で、半透明のどろりとしたソース(要するに日本人にもなじみのある餡掛け風のソース。)の掛かった料理が多く、鴨があり(鴨は高いので食べ放題だとお得感あり)、海老せんべいはまぁまぁ美味しく、いろいろと安くて腹いっぱい食べられる印象。それに比べると日本での中華料理は明らかにレベルは高い。ただ食べ放題の場所はあまりないが。

話を戻すと、ヨーロッパといっても住む場所と生活スタイル(特に収入)で食生活はかなり変わると思う。いわゆる西側先進国に住んでいる場合、フランス、ドイツ、スイスとオランダ周辺の小さな先進国、あとは北欧といった場所になるが、これらの場所で外食するとまず高いうえ日本ほどはおいしくない。もちろん十分金を出せばおいしいものは食べられるが日本での外食を経験していると馬鹿らしくなって行く気が失せる日本人が多いのではないだろうか。一方スーパーなどで生鮮食材を買って自分で作る場合はフランス以外の国では食材の種類が日本と比べるとだいぶ少ない。あと出来合いのものではなくてちゃんと食材のみを買ってもそんなにはは安くない。例外はドイツで、ドイツは食材は安い、というか物価が低いので日本人からしたら安く感じるだけとも言える。またそれには理由があってドイツ人の収入は税金でだいぶ減額されるので実際手にできる収入はそれほど多くなく、収入が少ないと物価も安くなるというのはある意味当然のことではあると思う。
調味料の種類や食材が少ないので、これらの国で生活して自炊をしたところで大しておいしいものを作れないという事実を知っている日本人はあまり日本国内にはいない気がするがどうでしょう?もちろんそうはいっても料理の経験値が高い人であるならば創意工夫で何とでもなるので問題はないと思うけど、そうでもない限りヨーロッパで暮らしている人の普段の食事は結構つまらないもの。それでもテーブルのセッティングや食器の種類、箸を使わないでフォークナイフでの食事、やや豪快な盛り付け(食材は少ないけど材料はでかいことが多いため)、現地語で書かれたビールやワインのボトルのラベルや、多種多様なチーズなど日本では高い食材、といった感じの要素が自然に入る現地住まいの日本人の食風景を写した写真は魅力的に映るかもしれない。しかし現地で済んでいる日本人は逆にそういうものばかりしか食べれないとも言えるので、もしあなたが海外に住んでいる日本人の食生活などに憧れを少しでも抱いたりするならばそれは「隣の芝は青く見える」という事であると私は言っておきたいと思う。
一度ドイツのEDEKAという(ドイツ人にとっては)やや高めのスーパーで10キロ1.9ユーロ(約220円)というとんでもなく安いジャガイモを買ったが、確かにジャガイモは美味しかったものの1キロほど食べてからは飽きてしまい、最終的には創意工夫を凝らしてじゃがバターにポテトサラダとフライドポテトを添えて食べてみたが精神的にきつかったです。