最近安倍首相がプーチン大統領といろいろやり取りをしているが果たしてうまくいくのだろうか?
安倍首相の北方領土に対しての熱意は理解するが、あれこれと日本側が譲歩した結果ロシアに略奪された北方領土4島について、何かしら返還のような事態が本当に起こりうるだろうか? 私の関わってきたロシア人などから言えるのは、そんなに簡単にはいかないだけではなく、逆に国益に反することになりえる、という意見である。
最近の安倍首相が関わるいくつかの政策には同意しかねるものがある。2009年あたりの民主党政権のことを彼は「悪夢」といったようだがこれは大いに同意できるし、その後の彼の政権運営も文句があったとしても全否定するようなことはなかった。むしろそこそこ上手くやってきてるように思うし戦後の日本政界を見直しても国益に積極的だった首相の一人だとも思っている。しかし北方領土についてのロシアとの関係と、実質的な移民促進法といわれる在留資格に関する閣議決定などはいったい何であろうか。これは両方とも未来の日本に大きな災いを残す可能性がある政策に見えて仕方がない。正直私としては大反対であり、安倍首相もしくはこれらの政策案の賛同者を厳しく追問する野党がいるなら支持したいほどである。(ただし旧民主党に繋がりなる左寄りキチガイ政党は除く)
北方領土に話を戻すが、安倍首相の個人的な信頼関係によってプーチン首相から北方領土について何かしらの良い結果を受けられる可能性があるとよく聞くが、あまりにもナイーブすぎる。そもそももし北方領土が戻ったとしてもそれが4島返還ではなく歯舞、色丹島の2島だけだと4島返還と比べるとなんと7%しかないという。確かに地図を見てみればわかるのだが歯舞、色丹島は択捉島、国後島に比べると豆粒のように小さい。一方識者の中には安部首相のロシアへの歩み寄りは日本の征服を隠さなくなった中国への対策を考えての判断であるという、それなりに筋の通った説明もあり、それがもし本当であるならば幾分その動機としては納得できるものがあるともいえる。

しかしである。動機が何にしても本当にロシアが2島だけでも返還してくれるのか。またもし返還されたとしてもそれへの対価としてどのような条件を日本が飲まされるのか。過去50年を見ればわかるのだが日本はロシアに裏切られ続けたのであってそれでもロシアを信用できるなんてことを言う人間がいるのなら過去からの学習能力がなく、要するに頭がおかしいのではないか、と言わざるを得ない。実際に過去70年の日本の韓国・中国へのこれまでの外交的失敗を見ると冗談ではなく本当に頭がおかしいのではないか、結局は安倍首相も底の浅い為政者なのかと考えたくはなる。しかし実際に安倍首相が何を考えているのかは不明だ。一応建前としては「長く続いているロシアとの問題を自分が責任をもって解決しなければならない」といったようなことを発言しているようだが。もし本当にそれが理由なら実に浅はかな政治的判断といえよう。そうでないことを祈る。
一番の問題はたとえプーチン首相が本当に返還を考えていてもロシア人の民族的アイデンティティを考えると返還は容易ではないという事である。ウクライナの事件でもそうだが、一般のロシア人が「領土」というものについてどう考えているかどのぐらいの日本人が知っているだろうか? 世界の主要都市をすべてを破滅させることができるぐらいの核兵器を持つばかりか、侵略ばかりを繰り返し、自国民までも含めた民間人への暴力をいとわない汚職まみれの政府が生きているこのロシアという国は日本の真横にあるのだが、その国の危険性を何も考えずに生きている日本人がいるとすれば、その人間がバカでなければ何であろうか? 日本の義務教育の質の低さのせいにするのだろうか? そういう部分もあるだろうがいつまでも言い訳はやめるべきである。少し頭を使えばロシアという国が非常に強欲で危険な国であることがその辺に落ちている情報を整理するだけでもなんとなくわかるはずである。
公平を期して例外を言うと、私の知り合いが住んでいるモスクワに住むロシア人はその他の地域のロシア人とは別の国の人間かと言えるほど相対的に垢抜けていることが多い。しかしそれ以外の殆どのロシア人というのは実際のところコンプレックスまみれなのである。表面上ではアメリカと肩を並べたような態度を取るが実際の状況を見れば軍部だけが異常に大きくなっているだけの非常に粗末な国なのであり、トヨタが作る一番安い車と同じ性能の車さえも自国で作ることができない。経済面であえて良い部分を述べるなら石油や天然ガスのような脳を使う必要のない天然資源ばかりで、特殊な軍事産業以外にはろくな産業が無い。ソビエト連邦という幻想国家が崩壊してからロシア人のプライドは男性の平均寿命が10歳以上縮むほどにズタズタになったが、現在はさらにインターネットが使えるので以前にも増して西洋やアメリカ、日本の実態を知ることができ、自分たちのみすぼらしさからますます目をそらせられない状態である。では彼らの残ったプライドとは何か? これは一般のロシア人と接触する機会が多いなら見えてくるのだが、ロシア国内だけで育った教養の無い、そしてロシア政府の発する情報だけを鵜呑みにする大衆的ロシア人はとにかく領土の大きさを自国のプライドとする傾向が大きいのである。土地というのは持っているだけでは意味のないという事は少し考えたらわかるだろうが、領土という表面上の概念に執着しそれを誇りに持つロシア人の思考の中には合理的な判断があるとは正直思えない。しかし人間とはプライドに関わることになると実利を無視することもできる生き物なのを忘れてはいけない。つまらないプライドのために身を滅ぼしていく人間はロシア人でなくても世界中どこにでも見られる人間の空しい一面である。
果たしてこういったロシアの大衆の持つ領土に対しての執着心をどれほど安部首相は理解しているだろうか? いやそもそも今の日本人自体がどれだけわかっているのだろうか? 何もロシアは共産主義だったから強欲だったわけではない。それ以前からロシアという国はそういう国だったのであり、国土を守る気概のある政治家が普通にいた第二次世界大戦前の日本ではロシアの南下をいかに防ぐかというのが重要な政治懸案であり、一般の日本人にも共有されていた危機感だったのである。いうまでもなく朝鮮半島の日本への合併や満州への日本の展開もそれに関係した防衛策の一面である。人がろくに住んでいないようなところに国土としての土地を持つという事はその地域を政治的に管理する必要があるだけではなく、インフラやその他社会的基盤を維持するために費用が掛かかるという事でもある。決して裕福ではないロシアがそこまでもして執着する「領土」というものを、ほとんど独裁者として振る舞うようなプーチン大統領が強行して日本に返還したとしてもロシア国民によるプーチン大統領への反発は抑えられないであろう。そのためには日本からの相当な見返りが必要となるだろうがその結果として現実的な利益を日本にもたらすであろうか? おそらく歯舞、色丹島だけの返還になっても相当の条件が課されるであろう。
心に留めておくべき大切な前提知識としては、ロシアが占領している北方4島はロシアが一方的に日本との国家間契約を無視して侵略してきたもの、という事だ。この原則を徹底的に見るべきではないか? 第二次世界大戦中に日本からロシアに対して戦争はしかけていないのである。世の中には「嘘も方便」も必要な時があることは承知しているが、やはり人間が地に足をつけて誠実に生きるときに大切なのは常に「事実」なのであり、そしてその「事実」は可能な限りの個人的主観を排除したものであるべきで、このように客観的手法で立証された(科学的と言い換えても良い)ものであるべきである。そのような客観的事実こそが個人・社会を問わず尊重されるべき論拠になり、この世の諸問題を解決していくために役立ってきたのである。とにかくロシアが日本を一方的に不当な方法で侵略してきたのであり、まずこの事実を日本人は知る必要があると同時にロシアにもそれを認めさせなければならない。無論、相手はこのような哀れなプライドだけが生きがいの人間で埋め尽くされた退廃国家なので、そのような野蛮人に単純な事実を認めさせることは難しいかもしれないが、少なくとも日本国内向けにはロシアに侵略されたという事実を基にした意見共有を徹底するべきである。
さて、上記が本当であるとあなたが思われる場合はこれからあなたはどう考えるべきだろうか? 「自分には関係ない」と事なかれ主義的に話から逃げるのだろうか? 実際どうもそういう人が多いようにも思える。
こんな例を考えてほしい。あなたは両親と一緒に持ち家に住んでいるとしよう。実は最近になってあなたの両親に聞かされたことがあり、今住んでいる家の隣にあるB氏の家の一部は本来はあなたが今住んでいる家の一部だったが、あなたが生まれる前に両親の家が火事に見舞われ、その時のどさくさに紛れて隣人B氏がその土地を略奪したとしよう。さてそれを知らされたあなたはどうするか? 隣人B氏のしたことは不当であるので取り返すための何かしらの行動(訴訟でもなんでも)を取るべきと考えるのが正常に脳を持った人間ではないだろうか。そういった当たり前すぎるようなことをを考えられないのなら、そもそも生き物としての原始的な自己防衛さえもろくにできない淘汰されるべき欠陥生物といえるだろう。あなたはどちら側の生物ですか?
私の物言いは上から目線だろうか?たとえそうであっても事実は事実であり、自分で物事を考えたうえで現実から逃げずにしっかりと自立した行動をとるべきである。それでも事実を受け入れられないのならばそれでも結構だが、ソ連崩壊という事実を真摯に受け入れずにプライドを守る一方、現実からは結局逃げられず自暴自棄になってウォッカばかり飲み平均寿命を10年短くしたロシア人の男たちを哀れに見る資格はあなたには無いであろう。
なぜならあなたも晩年に、あなた自身がそのような考えを持っているが故に事実から逃げつつけて悪化した自分自身の人生の諸問題で苦しむ可能性が大きいからだ。多数の人間を巻き込む政治的な問題であろうとあなた自身の個人的な問題であろうと、要は社会的範囲が違うだけであり、事実から目をそらすことは深刻な問題をその当事者に起こすことという意味で本質的に何も変わらないのだから。
