家庭用ドラム式洗濯機について

2015年辺りからだろうか、日本国内でドラム式洗濯機が脚光を浴びている事に気が付いた。それ以前にもドラム式洗濯機が無かったわけではない。一般には知られていないだけでクリーニング屋の様な衣類洗いを専業としている業界や、ホテルやその他の大型施設にて自前で大量に衣類等など繊維物を洗う必要のある業界では、むしろ業務用の大型ドラム洗濯機が標準設備になっている。

正直なぜ日本の一般家庭では縦型が主流であるのか正直私もはっきりとした理由を示せないが、水が安価で潤沢に使えしかも洗浄効果の高い軟水である事、また人にもよるであろうが毎日洗濯する日本的な生活習慣などが関係しているのであろう。しかしドラム式の良さに脚光が浴びているようなので本場ヨーロッパのドラム式洗濯機やそれに関連した生活様式について話してみたいと思う。

ドラム式と縦型の違い

これに関してはいくらでも情報があるのでここでわざわざ言うまでもないと思うかもしれない。しかしドラム式と縦型の比較についての情報は日本国内だとあくまで日本国内で販売されている商品間での比較になっていることが多い。つまりパナソニックや日立などの日本の大手家電メーカーが製造するドラム式と、同じく日本で広く使用されてきた縦型式の間での比較なので本場ヨーロッパの(さらに米国)ドラム式との比較情報は少ないことに気が付いた。そもそもドラム式は欧米で発達してきた製品なので機能性も含めて本来のドラム式について知りたいのならばヨーロッパ、とくにドイツを中心とした西ヨーロッパの商品と比べるのが何かと参考になるはずである。

ではドラム式と縦型の使用の際の、実質的結果の違いや特徴を並べてみようと思うがその前に一言。各特長はそれぞれ独立しているのではなく、他の特徴とも関連しているのでその意味で説明が少し重複することをご了承していただきたい。

水量

まず水量についてであるがドラム式は縦型よりもずっと使用する水が少ない。これはその構造上ある意味当たり前な事といえる。むしろ水量を増やすのは難しいと言えるぐらいである。なぜならドラム式の場合横から洗濯物を入れる仕組みであり、そのため単純に絶対水漏れのしない水位というのはドアの一番下の位置という事になる。もちろんこの位置までの水量しか使えないとするとあまりにも少なすぎるので、ドアの部分は分厚いパッキンを使い、ドアを閉めた際に水が漏れないようにして、水位がパッキンが無いままだと本来は水漏れしてしまうような高さまで上げられるように工夫している。

一般的な家庭用ドラム式洗濯機。ドアの閉まる際に内向きにへこんだデザインのガラスドア部分と密着するグレーの部分は弾力のある大型パッキンで、これが無ければ水位を殆ど上げることが出来ない。

しかしそれでも限度はあり、あまり多く入れすぎるとやはり水圧がかかり漏れやすくなるし、一方漏れないようにしようとパッキンに強い圧力をかけてドアを閉める構造にするとドアを閉める際に力が必要なうえ、パッキンの耐久性も求められる、もしくはパッキンが壊れやすくなる、という事態になる。そういう事情もあり実際のところ水位がドアのガラス窓から見て3分の1を超えるドラム式洗濯機はまず見掛けない。
それによるメリットはもちろん縦型と比べて水道費の節約につながる事であろう。しかしこれは日本ではあまり意味が無いと思う。いや、正確には私の住んでいるルクセンブルクや周辺のドイツ、フランスなどの現代の西ヨーロッパでも状況は同じである。というのも水道代などたかが知れているからだ。私の使っているMieleの洗濯機の広告などを見ても「使用水量が少なく環境にも財布にも優しい」と言ったような自称環境先進国らしいドイツ製品的な売り文句が見られるが、正直言って屁理屈にしか聞こえない。
日本のとある大型家電量販店のサイトにドラム式のメリットとして「少量の水で洗うため、洗剤の密度が濃くなり皮脂汚れに効果を発揮」なんてものを見かけたがこれを書いた人は想像だけで勝手に言ってるようにしか思えない。まるで縦型に入れる分量をそのままドラム式に投入するような言い方である。洗剤というのは密度自体を高くすればするほど洗浄効果が上がるというような単純なものではない。当たり前だが汚れに必要な量以上を入れても洗剤のコストが上がるだけだし、洗剤の種類によっては一定以上の量をいれると洗浄力は確かに上がるが「入れれば入れるだけ落ちる」というよう単純なものではないので、やはりただの金の無駄となる。またすすぎ洗いもその分たくさんしなければいけないし、柔軟剤を投入する場合には洗剤が十分すすげていないまま投入すると問題になる。

水量とすすぎ洗いについて言うと日本の縦型に比べて一度に投入できる水量に限界があるため、やはり1回あたりのすすぎ洗い性能は縦型よりは劣ると言えよう。とは言えすすぎ洗い後に乾かして着ても洗剤の匂いがしたりすることは無く実質的には何も問題はない。ただし何かの理由(気分的なものも含めて)で水がほとんど濁らない状態まですすぎ洗いをしたいという人にはドラム式は少々面倒である。なぜなら先ほども言ったように水の投入量が少ないため一回でのすすぎの効果が相対的に低いからだ。そのため手動で何度もすすがなくてはならず面倒と言えよう。とはいってもそこまでのデメリットではないことも付け加えておこう。
いずれにせよここで言えるのは確かに使う水量は少ないが、それによるメリットもあればデメリットもあり、水量自体の少なさという点については縦型と比べて相対的に良いとも悪くもないと言える。

重量

これはドラム式が圧倒的に不利である。なぜならドラム式は非常に重い。ほとんどの機種は恐らく50キロ以上あるであろうし、上級機種は80キロ前後、例えばMieleの標準サイズの機種は100キロ前後あることで有名である。その理由はその機械的性質から避けられない脱水の際の振動問題であろう。縦型は知っての通り地面に対して垂直に渦を巻くように回転するがドラム型は地面に対してまさに車のタイヤが転がるように回転する。もちろん脱水の際には無茶な加速をつける必要はないのでゆっくりと回転数を上げて、回転ドラムを支えている本体にかかる逆回転の力をゆっくりと相殺するのであるが、それでも力学的にドラム式の方が不安定なのである。その原因は縦型は脱水中のすべての洗濯物は平行運動をするがそのため洗濯機本体には地面(重力方向)へ対し一定の継続した力しかかからない。それに比べてドラム式はドラムの開口部を正面に見た場合、左右に偏った上下運動が生じてしまう。
特に高速脱水中の理想状態は回転中のドラム内で洗濯物が均一にへばりつくことであるが、時にバランス悪く一部に塊ができたまま脱水工程に入るとバランスの崩れた砲丸投げ選手の如く本体が揺れだす。縦型でも全く同じ現象は起きるがドラム式だとその方向が余計分散されず、回転方向と同じ方向へ大きな応力がかかり、洗濯機本体が十分固定されていないと軽くガタガタと飛び跳ねるどころか最悪真横に倒れてしまうであろう。それを防ぐためドラム式はなるべく重心が低くなるよう設計され、追加の重りも付けるので本体がやたらと重くなるのである。よって床下が十分補強されていない場合底が抜けることがあるので追加工事が必要となることがある。ちなみにヨーロッパでは基本的にほぼすべての建築物はコンクリートやブロックなどからできており耐久性は抜群であることがほとんどである。よって100キロの洗濯機であっても補強工事などする必要性はまずない。

高温水洗浄

私の個人的意見だとドラム式の一番特徴かつ圧倒的な強みなのはこの水温についてである。いや正確にはこの言い方は正しくない。というのは縦型でも水温を上げたいのなら上げられるからだ。たしかに本体にヒーターが付いてる機種はあまり見ないが単にお湯を入れればそれは実現できるし、おふろの残り湯を使うという方法も一時人気になった。つまりドラム式と縦型という物理的構造の違いとは全く関係なく、欧米と日本の洗濯に対しての文化的違いからくる機能の問題と言えよう。しかし先ほども言ったがおそらくこの点が日本で伝統的に普及している縦型とは一番違う特徴であり、同時に最大の強みでもある。
どういうことか。温水での洗浄力というのは蛇口をひねっただけで出てくる季節によっても変わってしまう常温の水とは比較にならない洗浄力を発揮する。現在(2020年)の日本で販売されている最新機種のドラム式では60度までの過熱機能を搭載している事を売り文句にしてたりするが、ヨーロッパ人がそれを見ると呆れて別の意味で驚くだろう。というのもヨーロッパでの標準的なドラム式洗濯機なら安価な製品(350€)でも90度前後まで加熱できるからである。これは文字通り沸騰直前の熱湯である。もちろん本当に90度近くまでの熱湯を使っての洗濯をする人ははあまりない。実際のところはメーカーや機種によって若干の違いはあるものの、無調整、30度、40度、60度、90度、と言った感じで5・6種類程度がオプションとしてして用意されていて、たいていの人は普段は40度、高温でも60度をたまに使う感じである。しかしあまり使う事が無いと言ってもほぼ間違いなく、どんな機種にも最高温度として90度が用意されているのだ。

どんな安物でも90度前後までの温水設定機能は標準装備されている

この高温での洗浄力はすさまじい。90度でなくとも60度でも十分以上な威力である(60度は90度と比べると低く思えるが実際は火傷する温度である)。これを経験してしまうと温水機能のない洗濯機を使う気が失せてしまうだろう。むろん縦型洗濯機の場合でも日本の洗剤メーカーが切磋琢磨してなかなか強力な洗浄力を持つ洗剤を開発している事は一応言及すべきか。特に日本の殆どの地域で使える水は汚れを落としやすい軟水であり、さらに通常使われる洗剤は酵素が入っておりこれは単に油脂を水と攪拌させるだけの界面活性剤ではなく、たんぱく質や脂肪分を狙い撃ちして特殊な反応をする高分子であり本来は生物が分泌していた成分である。それを各メーカーが研究の上、人工的な方法でで生産できるようになったハイテク物質だ。しかしそれでも温水洗浄という単純な方法は色々な意味でずっと有利である。
まず皮脂汚れは非常に簡単に落とせる。当たり前だが皮脂そのものが液状に変化する温度に設定できるので、あとは界面活性剤があるだけで綺麗さっぱりである。一部の油脂は酸化したりなど変性してしまい、高温でも解けるまでに至らないこともあるし、タンパク系の汚れも高温という理由だけではすぐには落ちない。しかしもちろんヨーロッパの最新の洗剤は界面活性剤だけでなくそれ以外の成分も入っており、それにドラム式特有の叩き洗いという物理的な衝撃も加わるので、いかに常温用の洗剤が強力になったとはいえドラム式の温水洗浄はそれを上回る洗浄力を発揮する。そういえば日本で家庭用ドラム式洗濯機が出回ったころに「ドラム式洗濯機は全然汚れが落ちない」と言った批判が多くあった。しかしどんな洗濯機を使っているか調べてみると低評価の付いた洗濯機は温水機能が無いのである。汚れが落ちなくて当然である。むしろ何故メーカー側は温水機能を装備しなかったのか理解に苦しむ。これら日本メーカーの開発者は新技術を入れる余裕が無い程成熟しきっているヨーロッパメーカーのドラム式洗濯機を参考として調べているはずなので、それなのに温水機能を付けないまま売り出したとするならば申し訳ないが心の底から馬鹿者だと申し上げよう。技術者など辞めてしまえと言いたくなるほど極めて無能かつ意味不明な判断である。また同じような批判に洗濯槽からカビの匂いがするといった批判もあったりする。しかし60度以上の温水で月1,2回洗うならば洗剤とともに殺菌されされるし、半年に一度90度にして、何なら漂白剤も100mlほど入れて洗濯槽を洗えばカビや細菌を含むあらゆる微生物は殲滅するので、カビどころかいかなる有機物の匂いも微塵も感じられないはずである。

今の流れですでに述べたがこのように殺菌作用も見逃せない温水洗浄の威力である。常温でも殺菌効果がある色物にも安心して使える酸素系漂白剤や、その他殺菌線分の入った洗剤などが日本では販売されているが、それでもどうしても残ってしまう匂いもあるものだ。しかし高温で洗濯すればそのような心配は無用である。バスタオルや下着、スーツの下に着るブラウスやワイシャツは肌と触れる時間が長く汗や皮脂などが付着しやすいので洗濯後に見た目が綺麗になったように見えても、少しでも有機物が付いていると生暖かい夏場などではすぐに雑菌が繁殖してしまい、いわゆる「生乾きの匂い」と言った異臭が残ってしまう事は多くの人が経験済みであろう。
忘れてはいけないのは最終脱水前のすすぎ水そのものに若干であっても異臭の元である細菌が残っている事である。いや、洗濯槽そのもの

の見えない箇所にカビが生えていることもよくあることなので、そういう雑菌がすすぎ洗いの水にも若干ながら混じるわけで、すると脱水してもすぐに乾かさない限り高温多湿な状態のまま放っておくと雑菌が繁殖し匂いが発生してしまうという訳だ。
ではヨーロッパのドラム式でおなじみの温水洗浄ではどうか?私の経験上例えば60度とかで洗った場合、そのまま洗濯物を取り忘れて5,6時間たっても匂いがすることはめったにない、と言うか一度もなかったと思う。またもし90度で洗うならばそのまま24時間以上置き忘れてもまず匂いはしないであろう。ドアを閉めたままならば洗濯槽内部は滅菌状態なのである意味当然の事である。また先ほども言ったように普段の時点で洗濯槽自体が殺菌されて汚れもなく綺麗なので、なおさら菌が繁殖しにくいという訳である。たとえ1週間着っぱなしの想像もしたくもないような皮脂べっとりの下着であっても90度で洗えば綺麗さっぱり無味無臭である。もちろん既に懸念している人もいるかもしれないが60度ならまだしも90度となると生地によっては傷んでしまうのではないかと思う人もいるであろう。たしかに繊細なお洒落着では90度は避けたほうが良いかもしれないし、生地自体は大丈夫だったとしても色落ちが進みやすくなってしまう可能性もある。ただ私の経験上は意外と多くのものが90度で洗えると感じた。無論洗ってみるまではわからないのでリスクはありそこは自己責任ではあるけれど、その辺は使っているうちにだんだんとわかってくるので、一度使いだすと意外と頻繁に使う機会が出てくるはずだ。

この部分では話が長くなってしまったが、もう一つ付け加えたい情報がある。高温殺菌洗浄だからこそ可能となった生活スタイルの変化の一つに、バスタオルやその他の綺麗な生地を使っての荒っぽい、しかしかなり効率的で綺麗になる掃除方法がある。何のことかと言うと、私は普段洗い物を40度と60度で洗うために分別している。色落ちしやすいものは40度で、バスタオル、ベッドシーツ、チノパンなどの綿や麻のなどの高温に強く、かつ形状が複雑でないものは60度で洗う。なので60度で洗うものを実際に洗濯機に放り込んで洗い始める前に、例えば使ったばかりのバスタオルなどがあると60度で洗濯する前にもう少し軽く濡らして床掃除を始めたりするのである。埃や水溶性の汚れのある玄関周りや洗濯機が置かれている風呂場周辺だけでなく、キッチン周りの脂っぽい箇所まで拭き掃除する。そう、つまりバスタオルを雑巾扱いするのである。これが良いのはバスタオルは大きいので普通の雑巾よりも面積が圧倒的に広く汚れた面はすぐに折り返せるので掃除がしやすい。適当にごしごしと面を変えて床を拭くのであるがバスタオルは大きいので掴みやすく、とにかく濡れ拭き掃除がしやすいのである。とんでもないことをしていると思うかもしれないし、気持ち的には慣れるのに若干時間はかかるかもしれない。が、理屈上は60度で洗えば油汚れはもちろんある程度殺菌までされるので、油やほこりまみれになった体を拭くためのバスタオルでも洗濯機に放り込んで気が付くと何事もなかったようにきれいになっているのである。さらにこの掃除方法を毎回こまめにしていると床の汚れ自体が少なくなるので、次回からは床を拭いても汚れは少なく掃除時間も短いし、さらに埃がメインの汚れの場合60度ではなく40度で洗っても問題ない。こんな感じで洗濯のついでにまだ綺麗な衣服やバスタオルなどを雑巾の如く使って気軽に家をピカピカにできるのである。他にはキッチンでの拭き掃除がある。毎回シンク周りの濡れ残りやレンジ周りの油汚れをキッチン用タオルなどで拭きとった後にその汚れたタオルを再利用するためその場で手洗いする人も多いのではないだろうか。私の場合はキッチン用タオルを常に15枚ほど棚に用意しておき、毎日昼食後と夕食後に油汚れも含めて拭き、その後はそれをそのまま60度の分別かごに放り込んで数日後にまとめて洗うだけである。まるでキッチンペーパーのごとし拭き捨て感覚で使っているが、これも高温洗浄がなせる業である。他にも来客の際は高級ホテルの様にトイレに一回使用のためだけの手拭きナプキンを20枚ほどきれいに山積みしたりもできる。こんな感じで油汚れの強力洗浄と殺菌という両方が可能となることによって布を生かした生活習慣が劇的に変わると言っても過言ではない。ここで書いたのはあくまで私が思いついたアイデアだが、おそらく他にもいろいろと便利かつ面白い活用法があるであろう。何か面白いアイデアあればぜひ共有してください😌

すすぎ能力

ドラム式に対して縦型が優位に立っている点の一つにすすぎ洗い能力がある。水量の項目でも述べたがドラム式は一度に注入できる水量が少ないためすすぎ洗い能力が弱い。大抵のドラム式洗濯機には追加すすぎ洗いのオプションがあるのだが、それでも縦型でザブザブと大量の水ですすぐ光景に見慣れた日本人からすると不十分に感じる人もいるかもしれない。ただすでに述べたように実用面ではあまり問題ないと言っても良いであろう。例外として埃まみれになったレースのカーテンを洗ったりするときにはドラム式だと埃がどうしても残りやすい。そもそもすすぎの際には可能な限り注水するとはいえ、ドラム式の場合は洗濯物同士はお互いの距離が近いうえ重なり合っており、その間に埃が入り込むとそのまま生地に絡まりやすい。またすすぎ洗いへのこだわりは日・欧米の文化的な違いと言えるといるる部分がある。実際日本で伝統的な縦型式の場合、標準で埃取りネットが付いているのがドラム式ではそういうものはない。要するに欧米では埃よりも油汚れなど脂溶性もしくは水溶性のについて重点を置いているからである。ただし相当埃まみれという訳でなければドラム式でもすすぎ洗いは常識的な範囲で十分機能すると言っておきたい。また最近(2020年現在)の日本でのドラム式はそのあたりを気にしてか、すすぎ洗い能力を強化していたりもするのでドラム式だからと言ってすすぎ能力が低いというのは日本国内においては変わっていく可能性もあることを付け加えておく。

洗濯時間

洗濯時間については同じドラム式でもヨーロッパメーカのものと日本の物では違いが出てきているようである。これについては良い、悪いの判断が難しいというのが正直な感想である。縦型と比較するとヨーロッパのドラム式は洗濯時間がやたらと長い。平均して2.5倍ほど、場合によっては3倍ほど長いのではないだろうか。日本の縦型は30分前後ほどで終わることも多く、長くても40分弱もあれば脱水も終わっている。それと比べるとヨーロッパのドラム式は最短でも1時間という感じで、たいていは1時間半ほどかかる。高温にするとその分時間がかかるので例えば90度、さらに追加のすすぎ洗いをしたりすると3時間弱ほどかかってしまう事も。一方同じドラム式でも日本製のものは早くなってきているようだ。おそらく以前のもはヨーロッパのドラム式と同じような時間がかかっていたので批判も多く、縦型の短時間洗濯に慣れた日本人に対しては、この長時間洗濯のままでは商品が売れないと判断したのであろう。しかし日本のドラム式の短時間プログラムについては技術的な点でいろいろハッキリしないことが多く、なぜなら「ドラム式の洗濯時間についてはどう在るべきか」についての答えは見えにくいのが私の正直な感想である。ドラム式はモーターの力による対流を強制的に作り出すことが出来ない。縦型だとモーターを強力にすればするほどこの対流も強くなり、つまり水流による一種の「擦り洗い」も強くなる。一方ドラム式だと工夫はある程度できるとはいえ、基本的には自由落下で落ちた際の叩き洗いであるので、洗浄効果はその落下の衝撃つまりドラム上部からどれほど落下地点まで距離があるか、で決まる。もちろん洗浄水が高温ならその効率は比例して上がるのはもちろんではあるが、少なくとも強力なモーターによるある種の「荒業洗濯」は不可能である。つまりドラム式の場合、強力なモーターを使っているかどうかはあまり洗浄結果には影響せず、それよりも洗濯時間がそのまま洗浄結果に表れるのである(無論温度によって効率化できるのは上記のとおりである)。よって水温が同じなら安易に洗浄時間を短縮することはできないのである。

簡単にまとめると縦型はモーターの力技による対流擦り洗いなのでモーターが強力になればなるほど洗浄時間を短くできる。ドラム型は何回洗濯物をドラム底面に叩き落とし続けるか、という事であり、「叩き落とし回数=時間=洗浄効果」という構図になるのである。
重力による自由落下に頼っているので自由落下加速度を変化させるような物理的法則そのものをに手を加えない限り大幅な短縮は無理であろう。よって叩き洗い以外の特殊な洗浄仕組みを追加するなど、一種の技術革新が無い限り同じ水温という条件なら洗浄時間に限っては縦型式に軍配が上がる。ドラム式が無理に洗浄時間の短縮をするならば汚れそのものが落ちなくなる可能性が大だ。

サイズ

サイズについて。縦型の場合はもちろん大きければ大きい程多くの衣類を洗える。またモーター出力の大きいものなら絡まない限り少々多めに洗濯物を入れても問題がない。ドラム式はどうか。これも縦型と同じであるが大きければ大きい程メリットとデメリットが縦型に比べ出てくる。まず洗濯物が少ない場合は小型のドラム式と比べ洗浄力が大きくなる。すでに述べたようにドラム式は叩き洗いであり、ドラム上部と底部の距離が大きい程重力による加速で底面に叩かれる際の衝撃が大きくなる。これは単純に物理的機構の違いでありこういう現象は縦型では起こらないだろう。一方これはドラムサイズの大小には関係ないともいえるが、重量センサー付きの機種に限っていえば、洗濯物が多くなると洗濯時間も長くなる事はわかるであろう、しかしその延長具合が結構長い。おそらく洗濯物の重量が最小の場合と最大の場合では洗浄コースにもよるが30分~50分ぐらい変わる可能性がある。ある洗浄プログラムでの最小重量が1時間30分なら最大重量ではが2時間20分ぐらいになってしまうという事だ。この差は結構大きいと感じると思うがこれも前回述べたように叩き洗いと言う構造的な部分が関係しており、洗濯物が多い分多く叩き洗いしないといけないし、またドラム内に多く詰め込まれているという事はその分幾らかは底部が底上げされるから叩き洗いの衝撃力が弱くなる。

一方たとえ時間がかかっても結構大型の洗濯物が洗えるのがドラム式の強みである。さらにここに温水洗浄の効果を入れると効果は著しい。さすがにフカフカの布団の様なものは難しいが毛布はもちろん大きすぎないサイズのラグ、例えばキッチンに敷くような長方形でやや厚めのラグであっても1.5メートル前後の物なら時間がかかるが洗えるのである。キッチンラグの様なものは非常に汚くなりやすいものだ。風呂場マットの様な水分と埃だけのような汚れ方はしない。あらゆる食品系の汚れが付く。例えば醤油やケチャップに塩コショウ、調理中飛び散るあらゆる種類の油脂に加え生魚や生鮮肉の見えない汁が飛び散っている。非常に不潔である。しかしこういう状態であることが分かっていてもこれを洗おうとする人はあまりいないであろう。なぜなら通常は洗濯機で洗えるサイズとは思わないし、実際無理やり洗ってもあまりきれいにならないであろう。一方こんなものを手洗いするのは実に面倒だ。大きな家らならバルコニーや庭、そうでなくても風呂場を使えばできるだろうが想像するだけで面倒くさすぎる。しかしドラムサイズが大きい場合、例えば私のドラム式は8キロまで洗えるのだが1.8メートルはある厚手で綿製(そのため密度が高く硬い)のキッチンラグを洗うことが出来る。その際に60度の温水洗浄をすれば、確かに洗浄時間はかかるものの、一部のどうにもならない強固なシミを除けばほとんどの油脂を含めた汚れがきれいさっぱり消え去り、また当然除菌もされるわけだ。心の底から素晴らしいと言うしかない。

分厚い綿なので固いうえ重量もある。最大投入容量に余裕があるドラム式ならこれも洗える。

維持費

維持費として取り上げるべきは電気代だと思う。ドラム式の水温加熱方法として最近はヒートポンプ式という、所謂エアコンの暖房と全く同じ仕組みを利用した効率的な加熱方法が出てきているが、それでも電気代は安くない。しかしドラム式にはその費用に見合うだけの洗浄効果や生活様式の改善があるとはっきり言えるのでそのあたりの判断は各自の価値観と照らし合わせて決めるべきだろう。それでも表面上の費用面だけで言うならば縦型が圧倒的に的に安価であるのは事実である。この辺の費用比べについては検索していただければ幾らでもネット上に情報が見つかるのでご自身で参照していただきたい。

もう一つ気になる維持費としては本体そのものの故障率や修繕費用であろう。これはいまだに日本のドラム式は発展途上にあるので何とも言い難い部分である。一方日本の縦型とヨーロッパのドラム式を比べるのなら故障率も含めて維持費は同じレベルである。この辺りについてはまたあとで述べるがヨーロッパではドラム式洗濯機が主流であり市場は熟成しきっている。安物であっても十分使える。なのでメンテナンスや故障の際の費用などは日本の縦型と変わらない。無論それはヨーロッパのドラム式をヨーロッパと同じ条件で日本で買えたらの話ではあるが。

では結局何を買えばいいのか?

ここからは総合的な視点で話を進める。

日本の縦式、ドラム式、ヨーロッパのドラム式。この3種類のうちさてどれが良いのだろうか?これに答えるのは難しいがそれでも一つ重要なポイントがある。それは上ですでに述べたことである。

まず日本のドラム式はまだ発展途上中である、しかし2010年ごろと比べると明らかに改善しており結構使えるレベルには到達している事だ。また日本人の趣向に合わせたすすぎ洗い強化など、独特の機能改善などもありその点も評価できる。一方ヨーロッパのドラム式洗濯機は市場が成熟しているおかげで基本的に何を買っても最低限の「ドラム式らしい機能」は備わっている。その最もな例はすでに述べたように温水洗浄についてである。日本のドラム式だとやっと最近、しかも25万を超えるような上位機種のみで60度の温水機能が付き始めた一方、ヨーロッパのドラム式は350€(2020現在で日本円で4万円弱)程度で買えるような安物であっても90度の温水機能が何食わぬ顔で標準装備されている。既にかなり強調したように日本の縦型に比べて本場ヨーロッパのドラム式の一番大きな利点は高温温水洗浄機能であるのだがこの点日本のドラム式は中途半端と言えるし、無論縦型式は論外である。

つまりくどいようだが洗濯機に求められる一番基本的な事、要は総合的な洗浄力を基準にして選ぶとするならば(2020年現在においては)温水洗浄が高いレベルで標準装備されているヨーロッパのドラム式の一択となろう。

しかし次の大きな問題はそのヨーロッパのドラム式をどうやったら手に入れるかである。私のいるヨーロッパでは安物から高額商品まで気軽に普通に買えるのだが日本ではそうはいかない。日本で安定的に手に入れられるのはドイツの高級メーカーMieleぐらいであろうか。次にボッシュやシーメンスとなるがこれらの製品も十分良いものであるが日本国内では直接販売していない様で、たまに代理店があったりしても突然消えたりまた現れたりを繰り返しておりメンテナンスが必要となった時の事を考えると少々不安である。では日本で本格的に腰を据えて販売しているMieleの商品について見てみよう。同時に日本のドラム式、おそらくPanasonicが有名なのでその製品も比べてみよう。
ちなみに日本ではドラム式洗濯機は乾燥機能付きの機種が多く出回っているが、乾燥機能について洗濯機能と一緒に話すとごちゃごちゃしやすいので後ほど別枠で話したい。

まずドイツの代表的な洗濯機メーカーであるMieleだが、無論ドイツ以外にもドラム式洗濯機を製造している事で有名な国とメーカーがある。アメリカではGEが代表的だし、ヨーロッパとアメリカ市場では韓国のサムスンとLG電子が低価格な割に高機能という事でやや有名であろうか。しかし色々ある会社でもMieleは性能面や機能面でドラム式洗濯機の代表的開発会社と言える。面白いのはシーメンスやボッシュもそれと同じぐらい高品質ではあるが、いずれもドイツを根城にした多国籍企業である。私がドイツ贔屓とかいう訳ではないのだがヨーロッパ広しとは言えどこに行ってもこの3社は知名度があり誰もが欲しがる。このことを考えると「Made in Germany」は伊達ではなく、ドイツ工業製品の品質と言うか人気度は世界でもやはりトップレベルであることは間違いなさそうだ。まぁ実際私が買うときも取り合えずドイツ製品に目が行きますし。
話を戻そう。さてそんなMieleではあるが自信を持ってお勧めするかと言われると正直わからない。少なくとも日本ではべらぼうに高いからだ。無論懐に全く問題ないのならPanasonicなど日本製ドラム式洗濯機を差し置いて買ってもらったほうが良いと思う。しかし平均的な収入の消費者にとっては異常な高額商品である。そもそもドイツでも高いのだが日本に来ると2倍近くする。現時点(2020年)で販売されている製品は次のような感じである。いずれも最上位機種である。

(https://www.miele.co.jp/)の商品ページからの抜粋

次の商品群は全く同じ機種ではないがドイツで売られているほぼ同じレベルの最上位機種の抜粋である。

(https://www.miele.de/)の商品ページからの抜粋

正直これでも非常に高い。一般家庭のドイツ人を含めたヨーロッパ人はほぼ買う事はないであろう。たかが洗濯機である。ヨーロッパではMieleを持ってるのは一種のブランド志向的な部分もあるのでこれを買う人はやはりラグジュアリー製品が好きな人が多い。ただしMieleは基本的には実質剛健的な商品を作るので決して商品づくり自体には手を抜いているわけではないとは言える。ちなみにこの値段設定はPanasonicの上位機種とよく似たものと言えよう。
他の記事でヨーロッパと日本の食洗器の比較などについて書いたが日本で買う時の状況はそれによく似ている。

とにかくMieleに限らずドイツのドラム式洗濯機を日本で探すと異常に高いので面食らうであろう。食洗器と同じでヨーロッパで買える350€程度の格安洗濯機でも基本性能は十分であることを考えるとその高さは際立っている。実際ヨーロッパの各家庭を覗いてみると殆どこの350€から600€の間の商品ばかりが買われている事に気づく。またこれら低価格商品の中にはBekoなどと言ったトルコ製の製品もチラホラ見るが性能的には全く問題ない。前にも少し述べたがドラム式洗濯機と言うのは基本的な技術については改善の余地が無い程熟成した商品で、洗浄能力はどれもそれほど大きな差はない。では高価格帯機種は低価格機種比べてと何が違うと言うと、熱源にヒートポンプを利用した省エネ性であったり、ドラムの回転サイクルやリズムの調整による洗浄時間の短縮など、省エネ・時間短縮と言った事ばかりで、一番大切な洗浄機能の向上などとはあまり関係ない付加価値的な部分での優位性である。無論これら付加価値はいずれもあったことに越したことは無いが、たとえこういった機能が無かったとしても、肝心の洗浄機能については高級機種との間で大きな差が無い事は強調しておくべきだろう。また低価格商品であっても日本の縦型より圧倒的に洗浄力は高い。
なのでヨーロッパにおいて多くの人は前述のように350€のドラム式洗濯機でもおおむね満足できるのである。

高価格帯ドラム式の付加価値について

付加価値が付こうと付いて無かろうと、基本的な洗浄能力にはそれほどの差はないとすでに述べた。では日本円にして25万を超えるような最新機能付き機種については具体的に何が違ってくるのだろうか?
ではMieleと日本でおそらく一番ドラム式洗濯機に力を入れているであろうPanasonicの高価格帯機種を比較してみよう。ちなみに私自身Mieleの最上位機種を使っているので実体験を交えて説明したい。

さてまず気が付いたのはPanasonicはあからさまにMieleをパクっている事である。両商品をじっくり比較するする人はあまりいないであろうが、正直見てる方が恥ずかしくなるほどである。もちろん私の気のせいである可能性もあるが。
まずMieleの最上位機種の殆どには自動重量検知システムがある。何が便利かと言うとプログラムごとに洗える最大容量があるのだが、この機能によって洗濯物投入量の目安になることだ。また同じく付加機能として「TwinDos」という洗剤自動投入システムがある。これは非常に便利で2本のカートリッジに自分の好きな洗剤を充填し、また設定によって投入量も最適な量にさせることが出来る。さらに使用できるのは洗剤だけでなく柔軟剤も可能である。なので私の場合洗剤と柔軟剤を自動投入するように設定している。これはMieleでの機能だがPanasonicも同じ機能がある。重量自動検知システムと連動して水量とそれに合わせた適切な洗剤を投入するので、手動で洗剤や柔軟剤を投入する手間が省けるだけではなく、必要水量の調整によって節水を、それに合わせて洗剤の入れ過ぎも防ぐことができるわけで、便利なうえに洗剤の節約にもなる。

つぎにMieleの「PowerWash」と呼ばれるという洗濯中の洗浄水の強制循環機能がある。これは自体は洗浄効果を高める、というものではない。洗浄水を洗濯槽の底からくみ上げドラムの上部付近から洗濯物に噴射するように循環させるので、その際に吹きかけられた衣類の箇所は多少の洗浄効果はあるかもしれないが、そんなもの大して意味はないであろう。この機能の本来の目的は洗浄時間の短縮、節水そして節電である。衣類の重量に応じて必要な水量が決まることは分かると思うが、PowerWashを使う事で洗濯中の水量を減らせるのである。
これについてはドラム式による物理的な機構と洗濯という行為に必要な要件というものを客観的に考えてみると意味が分かってくる。まず洗濯する際には当たり前だが洗濯の対象である衣類が洗浄水で濡れている必要がある。一方洗濯槽と言うのはどういう構造になっているのか。これは縦型でもドラム式でも同じだが脱水目的のための穴の開いたドラム槽と、その外側の水溜めのための外槽の二重構造である。

ドラム式洗濯槽の二重構造について
https://panasonic.jp/wash/products/cuble/auto_cleaning.htmlより抜粋

ではその中に洗浄水で濡れた洗濯物を単に放り込んだとしよう。そのまま放っておくと洗浄水は重力によって穴の開いたドラム層を通り抜け滴り落ちるので数時間後には衣類は湿ってはいるもののドラムでの叩き洗いに必要な洗浄水の重量は若干目減りするのは想像できるであろう。それでも恐らく十分には湿っているとは思うが。しかしもしこのままドラム槽を回転させ叩き洗いを始めるとドラム下部へ叩かれるごとに脱水効果が生じ、ドラム層の高回転脱水には及ばないものの、そのうち湿り気が少なくなり叩き洗いのための重さが足りなくなってくるという事をお分かりいただけるだろうか? ではどうすれば叩き洗いによる脱水効果を防ぐかと言うと別になんてことはない、単に十分な水を投入して洗浄水が穴の開いたドラム層より上の位置まで来るようにすれば良いのである。具体的にどの程度の高さまで上げるかは洗濯機によって設定が違うだろうし、また各洗濯機のプログラムによっても変わる。例えば洗浄水の水位がとても高いと叩き洗いの際に落ちてくる衣類が洗浄水に叩かれるというよりは飛び込むような感じになり、つまり衝撃が弱るため繊細な衣類を洗うときはこの方が都合が良い。一方水位をドラム層の下部ギリギリまで下げると叩き洗いの際にドラム下部の金属面に叩かれる度合いが高まり、叩き洗いのための衝撃力が上がる。つまり効率よく汚れが落ちるという訳だ。ではここで話を戻すが、もしこの洗浄水をもっと下げてドラム層底部のさらに先まで下げながらも衣類を常に十分濡れている状態にするとどうなるだろうか? それは単純に節水効果があるし洗剤の節約にもなろう。また温水洗浄の際は温める水量が減るため電気代も節約できる。PowerWashと言うのは先ほども説明したとおり洗浄水を強制循環させると言ったが、それは通常では適切ではないレベルまで洗浄水の水位を下げ、そのままでは起きるてしまうデメリットを打ち消すために外槽の底に少しだけ溜まった洗浄液を強制的に上部へポンプを使って循環させ衣類に再度吹きかけるという仕組みの事である。

一応備考を付け足したい。この実際の最低水位と言うのはメーカーや機種によって若干の誤差がある。今の説明はあくまで理解しやすくするために、強制循環機能を使う際は洗浄水がドラム槽のずっと下の位置に水位が来るような言い方をしたが、実際のところ私の使う機種では目視ではドラム層を若干超えるぐらいには水位があった。こうなっている理由はいくつか思い浮かべられるが、あまりにも細かい説明をする必要はないだろうし、実際に強制循環機能を使っている際は通常よりも水位がずっと低いのは確かなので、ここでは原理や理由が分かれば十分としたい。

前回の機能もそうだがこの強制循環に似たような機能をPanasonicの上位機種は実装している。ただしMieleとちがい洗浄力向上に為に使っているようだ。汲み上げた洗浄水をシャワーのごとし吹きかけることで汚れが落ちると言っているがかなり眉唾物である。高圧ポンプレベルの勢いで噴射するならともかく、ただ上から流すように吹きかける程度では効果はたかが知れている。単なる視覚的パフォーマンスであろう。するとMieleの様な節水、節電、洗剤削減の効果もないという事になる。

他にも細かい事を言えば色々あるが最後にMieleが始めたと思われる意味があるような無い様な機能(デザイン)について見てみよう。それはドラム槽の形状についてである。伝統的なドラム槽の形状は金属でできたドラムのいたるところに脱水用の穴が開いている。これは縦型でも同じ事である。Mieleはこの部分をハニカム形状(ハチの巣模様)にした独特の美しい幾何学パターンのドラムを採用した初めての会社である。口で説明するよりも画像を見てもらえればすぐにわかる。Mieleはこの形状により洗濯中の衣類がドラムへ叩かれるときの衝撃を適度に弱めることで衣類をいたわるといった事を売りにしているようだが、実際のところどれほどの効果があるかは不明である。正直なところ衣服をいたわるよりも強力な叩き洗いを実現してくれた方がありがたいというのが私個人の意見であるが、それはどうあれこの形状は古典的な穴だらけの見慣れたドラム槽と比べると視覚的には美しく魅力的であることは確かだ。では我らが誇る日本国企業Panasonicのはどうか?若干形状はは違うが雰囲気はそっくりのドラムを採用している。ただそれはMieleとは違い擦り洗いを強化するための物らしい。さすがにそっくりなので機能性を適当に創作したのだろう。擦り洗いの効果が本当にあるかどうかは知らぬが、実にものは言いようである。見てるこっちが恥ずかしい。

ちなみにPanasonicは最近角形状の洗濯機を投入した。その名も「キュービックフォルム」と言うらしいがこれもMiele的感性のデザインである。Mieleを初め欧米のドラム型洗濯機は形状がどれもほぼ同じで角形であり、しかもサイズもほとんど同じである。理由は単純で、またそれは欧米における食洗器の事情と同じだ。要するにシステムキッチンの一部としての埋め込みを可能としたサイズを前提にしているので、そのため角形が一番適しているし、買い替えをしたり他のメーカから乗り換えた時も同じ場所にはめ込み易くするためサイズ、特に高さと幅についてはメーカーが違っていても誤差の程度しか違いが無い。さらに乾燥機を別で買う場合は洗濯機の上にぴったりと乗せることもできる。今となっては本来の規格上の「仕方がない」理由から離れて発想の逆転しているようで、少なくともMieleにおいてはこの角形のデザインを規格上の制約からくる受動的なものとはせず肯定的な美しいデザインとしてインテリアの一部になる様に努力しているようだ。まさに機能美である。
どうも我らがPanasonicはこのコンセプトも真似しているようにしか見えない。いや、ここで挙げた機能のすべてのあまりの類似性を見るとパクっていると思わないほうがむしろ難しいのではないだろうか?

何度も繰り返したがドラム式洗濯機は洗濯機である以上、その至上命題は洗浄力であり、それはくどい程いった通り温水洗浄(とそれに付随する殺菌効果)である。ならばPanasonicが本来注力すべきは馬鹿げた見掛け倒しのパフォーマンスではなく90度までの温水洗浄を廉価版から最上位機種までのすべてに標準実装することである。

この様な感じなのでもし可能ならMiele、予算が無いのなら少なくとも60度までの温水洗浄の出来る国産品を買う事をお勧めする。また言うまでもなく縦型は候補から外れることになるであろう。もちろん予算がなければ縦型で我慢するしか仕方がないけども。

洗濯乾燥機

さてこのままで終わってはいけない。なぜなら今まで話を簡単にするため意図的に無視していた機能がある。機能と言うかの正確には乾燥機能も持った「洗濯乾燥機」についてなのだが最後にここでは個別に単一機能を持つ乾燥機と「洗濯乾燥機」の両方について話をしたい。
この状況がいつまで続くかは分からないが、日本では家庭用ドラム式洗濯機の事を今現在は「ドラム式洗濯乾燥機」と同一視している人が多いように思える。実際のところPanasonicを初め国内のドラム式洗濯機はそのほとんどが乾燥機付きの洗濯乾燥機である。正直これに気が付いたときは違和感とともに驚いた。なぜなら欧米では洗濯乾燥機は売られているものの一般的に使われている製品では全くないからだ。むしろ若干特殊な製品として考えている人が多く、そのため機種もかなり限られているのが実情である。何故か?という問いには色々な答えがあるだろうが、まず乾燥機能も欲しい人はわざわざ両方の機能が一緒になったものは買わず単純に乾燥機を追加で買うという考え方をする。しかし家が小さかったりしてスペースに限りがあるときに仕方なく洗濯乾燥機を買うという事を検討するのである。そもそも洗濯乾燥機は相反する機能が一つの筐体に入っている事もあり機械的に複雑になるしその分当然メンテナンスは面倒になる。特に乾燥機能を使うと埃が洗濯槽内の目の付かないようなあらゆる部分に付着するので技術者がそのあたりを十分に考えて設計していない場合この埃が思わぬ異臭や不具合の遠因となる。なので当然壊れやすい。さらに洗濯機と乾燥機を個別で買うよりも高価になる。一方、個別に洗濯機と乾燥機を持っている場合、洗濯と同時に既に洗ったものを乾燥できる。すると一回で洗えないような大量のに洗濯物があるときには流れ作業が出来るので洗濯回数が多ければ多い程、流れ作業効果で洗濯乾燥機一台を使うよりも最高で2倍近く時間短縮ができる。

そういう事もありMieleにせよ、国内メーカーにせよもし家にスペースを確保できるのなら絶対に洗濯乾燥機ではなくドラム式洗濯機とは別に独立した単一機能の乾燥機を買う事をお勧めする。そんなことを言っているが私自身が使っているのは実はMieleの洗濯乾燥機である。私自身初めは別々にしようと思ったが家のスペースを有効活用したいと思い、またMieleの評判や性能を信じ最上位の洗濯乾燥機を買った。ちなみにMieleの直売店へ説明を聞くために行ったのだが営業員はスペースを気にしないなら洗濯機と乾燥機は別々に買う事をお勧めすると何度も言っていた。私は最上位機種を買う予定だと言っているのでどちらにしても安い買い物ではないのをこの営業員は知っており、私に洗濯乾燥機1台の代わりに洗濯機と乾燥機の2台を買わせて売り上げを嵩上げするようなセコイ事を目論んでいるようには全然見えなかった。むしろ同じ金を払うなら合計金額が洗濯乾燥機と同じになるような値段の洗濯機と乾燥機を個別で買ったほうが良いと進めてきた具合である。純粋に個別で買ったほうが色々と良いのでこの営業員は本心でそう提言しているのであった。
洗濯乾燥機はスペースだけではなく洗濯物投入から乾燥まで一気にやってくれるのである意味理想ではある。長時間かかるような洗濯であっても寝る前に開始すれば朝にはすべて終わっており非常に便利だ。しかし長期的な視点で見るのならメンテナンス性も考えると個別で買ったほうが良い。なので家がどうにも小さくて仕方がない場合や、一人暮らしで洗濯物が多くない人ならおすすめであるが、そうでない場合はやはり個別で買う事を強くお勧めする。また乾燥機は日本の場合ガス式のがあり、これは電気式とは比べ物にならないほど速い。私の体感上おそらく2倍以上の差が出るであろう。もちろんガス式はガス栓が引かれて無ければ使えないなので制約はあるが、もし可能なら変な情報に惑わされず一直線にガス式乾燥機を買うべきである。それが無理な場合は電気式にすればよいであろう。まぁ、しかし問題は日本メーカーの場合殆どの家庭用ドラム式洗濯機は洗濯乾燥機であり洗濯専用のドラム式はほとんどない事である。何故なのかは正直私にはよくわからない。やはりスペースの問題なのだろうか?それともイメージ先行で便利だと思い込み洗濯乾燥機一本に絞って商品展開しているのかもしれない。

その一方Mieleなら洗濯乾燥機はもちろんドラム式洗濯機と乾燥機が個別で買える。しかしその際の金額は最上位機種だと合計80万前後に迫る感じであるが。意味不明な金額であるが、懐に余裕があるのならMieleのドラム式洗濯機と乾燥機を個別で買えば満足できるであろう。

何度も述べたように洗濯乾燥機は特別にこだわる理由が無いのなら買う事はおすすめしない。乾燥機と洗濯機を個別に買うべきだ。それはたとえ洗濯機業界最高峰と思われているMieleの製品であってもだ。それは私の実体験からの教訓でもある。私が買ったのは2018年の夏ごろだったが、使い始めて初めの1か月以降頃から洗濯中におかしな挙動を見せ始めた。例えば乾燥プログラム終了直前にせっかく乾燥した衣類にいきなり注水するという暴挙を犯したり、洗濯プログラム実行の時に脱水せずにプログラム終了したり、そのほかにもディスプレイの表示がおかしかったりなど細かな事を数えだすときりがないほど意味不明な挙動が多く発現した。しかも困ったことにこれらの意味不明な挙動には問題発生の前兆と言うか共通した問題発生パターンが見つけにくく、人間に例えるならまさにキチガイといった表現ができよう。
ある日の出来事である。洗濯中にすすぎ洗いもまだ行っていない状態でいきなり乾燥プロセスに入るので、電源を入れ直して再度洗濯をしたがやはり同じことを数回繰り返しそれだけで5時間ぐらい時間をつぶしてしまった。やっとのこと乾燥プロセスに入り、やれやれそろそろ終わるかと思った瞬間、乾燥終了の直前になんとまた乾燥したてのその衣類に注水しやがったので思わず「このキチガイめ!」と洗濯機に向かって叫んでしまった次第である。おそらく傍からは私自身がキチガイに見えたことであろう。
先ほども言ったように問題の再現性が低く、修理人をMieleから呼んでも初めの数回は修理人の目前で問題が現れず半信半疑のまま帰っていった始末である。まるで私が嘘でもついているかのような気分にさせられるので我ながら必死に説明をした。証拠にと思い洗濯時には毎回ビデオカメラで動画を取るという事までやりだした。全くもってなぜ私がこんな事をしないといけないのかと辟易したものだ。結局しつこく粘ったところ、ある日修理人の前で待ち焦がれたいつもの変な挙動が現れ「確かにこれはおかしい」という事になり、やはり内蔵コンピュータに問題がある可能性が高いと思われたようで、中枢コンピュータユニットを丸ごと取り換えてもらった。その結果は改善はしたのだが以前と比べるとずっと少なくなったものの、未だにおかしな挙動を見せることがある。その交換修理までに修理人は8回ほど来たであろうか?また1年近く期間がかかった。問題行動を起こす頻度は以前と比べるとずっと少ないのと、Mieleとやり取りするのはもう面倒だし、次は洗濯機と乾燥機を個別に買う事に決めたので、このまま壊れるまで我慢することに決めた次第である。どんなに有名なブランドであっても、そしてその最上位機種であっても過信は禁物であることを思い知らされた一件である。

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