ヨーロッパで目撃するSurimi

“Surimi”、日本語の発音にすると「スリミ」、要するに、すり身の事である。初めてこの”Surimi”なるものを見かけたのはバルセロナに旅行中の時だった。スーパーで買い物をしていると魚売り場の近く妙に日本語っぽい表現の表記があったのでパッケージを見るとなんとカニカマではないか。しかも一種類ではなく色々売られており、しかも形状が日本でおなじみのカニカマでない商品があり驚いた。そんでもってそれらはすべて、”Surimi”と表記されているのである。

うん、・・・・確かにこれらはすり身からできており決して間違っているわけではないが、カニカマに対してこんな凝ったな呼び方をする日本人は料理人や食品工場に関わる人たちの様な方たちであり、一般人にとってはカニカマ、もしくは他のすり身商品はかまぼこと呼ぶのが普通ではないだろうか。唐突に日本のものが妙な表現で売られていたり妙な使われ方をされているのを見かけるのは毎度のことであるが、やはり何か違和感満載である。ただこの商品はそこそこ人気のようでもあるし、なんか色々と違和感を感じさせる一方、一種の敬意も感じられるので、まぁ別にいいかと思ったりするのである。

では私の遭遇したSurimi達を紹介したい。

次の写真はルクセンブルクのスーパーの一角にあったもの。やや大きい店とは言えSurimiだけでかなりの品数がある。いわゆるブランド品とされる専門メーカーの物や低価格のスーパー自主開発商品があり、これを見るとSurimiなるものは一定の支持をルクセンブルクの市場で得ていることが分かる。ちなみにこの棚にあるほとんどの商品はどうやらフランスから来た物のようだ。

かなりいろんなものが売られている

よくよく見ると何か変わったものも・・・

さて、具体的見見てみよう。まずはこれ。日本でもおなじみのスタンダードなカニカマ。パッケージの写真にもあるようにレモンを掛けたりして食べることを想定している模様。もしくは私がしたようにマヨネーズやタルタルソースとも合う。味については普通だったけど日本のと比べると弾力が弱いと言うか、なんとなく味もぼやけている感じである。不味くはないが別に美味しいとも思わない。

では次の商品。どうやらカニカマという感じではあるが、もうちょっとリアルにカニに似せているようなのがパッケージの写真から分かる。

では開いてみよう。すると、

正直やたらと頑張っている感じがして驚いた。たしか日本にも似たような商品があった気がするが、とにかくこの商品はカニカマであっても見かけをかなりカニのむき身に似せている。では味はどうか?これがなかなかイケるのである。もちろん本物のカニとは違い例えば繊維は人工的に太く均一にそろいすぎている。しかしそれでもなんだか妙にカニっぽい風味がしてさらに普通のカニカマとは違い身の繊維が割とほぐれ易く、この触感も本物のカニに似せているのであろう。このパッケージには10本ほど入っていたがパクパクと簡単に全部食べてしまった。値段は2.5€程度で安くも高くもないといった感じである。

次はなんかやたらとデカくて薄いパッケージである。中身は写真から推測できるのだけど、さてどんなものか。開けてみたところやはりペラペラであった。味の方はと言うとやっぱりカマボコ。ただこれってどういう風にして食べるのが正しいのだろうか、なんかパッケージの写真を見るとサラダの様にして食べる感じだがもしかしてこのデカいのを一枚皿にのせてナイフとフォークで食すのだろうか?いまいち使い道がよくわからない。

さて次に行こう。今度はなかなかインパクトのある見た目である。見た通り、茹でたロブスターのむき身に似せているのだが、なかなか太くてデカい。また少なくとも表面上は本当にロブスターに見える。ちなみにこの商品はスーパーマーケットの自社開発商品の様である。味はと言うと、やはりカマボコなのだが、やや安っぽい味と言うか、塩見が強い気はする。見かけはロブスターに似せているが味はロブスターとは違うと言わざるをえない。決してまずいというわけではないがまた買いたいとは思わなかった。値段は確か2.5€ぐらい。量を考えると高くはないと思う。

次の商品はルクセンブルクではなく、知り合いのリトアニア人がリトアニアからお土産として持ってきてくれた。私がヨーロッパのSurimi商品というものについて興味を持っているの知っていたので「こっちにも売ってたよ」という感じで買ってくれたようである。さて味の方はというとかなりパサついている感じで、今回の記事の中では一番おいしくないとおもう。ただ試しに鍋で軽く茹でて温めてみるとパサつきはなくなり、そこそこの弾力になっていた。これならまだ食べれそうだ。

余談になるがこのリトアニアのカニカマの会社、”VICI”についてだが、この会社の社長はリトアニアの第二の都市で、第二次世界大戦中のユダヤ人救済ビザで少し有名になった杉原が住んでいたカウナス市の市長でもある(2020年7月現在)。Surimi、もといカニカマや、その他海産物関連の事業を展開しバルト3国の中でも有数の大企業に育て上げ、さらに政治権力の世界へ進出したという事でカウナス市だけでなくリトアニア全土でもその名が知られている。ただし市長という立場を利用して自分に関わるビジネスに有利な汚職的な事をしているとの事が知られるようになり、いまでは批判が多く付きまとうようになっている。

また、カニカマで成金になったその背景から、彼のあだ名は軽蔑的な意味合いを込めて「krabas」(リトアニア語で蟹の意味)と呼ばれている。

では最後の商品を見てみよう。正直初めてこれが売られているのを見た時はかなり喜んだ。写真の通りであるがシラスである。私が初めて見たのはバルセロナ市内のスーパーであったと思う。パッケージを手に取り凄い凄い、こんなにたくさん入ってるし安いし、羨ましいなぁ、と思っていたのだが、何気に原材料の項目に目を向けるとなんか様子がおかしい。そう、一瞬本物そっくりに見えただけでこれもまたSurimiなのである。その時はかなり落胆したが、ルクセンブルクでも見かけたのと、考えてみるとまだ食べたことが無かったので、取り合えず試しにと思い買ってみた。そもそもどうやって食べるのかが分からないが、パッケージを見てみるとどうやらフライパンで軽くいためたり、レンジで温めて食べるものらしい。とりあえず開封してみたがすごく生々しい風貌である、が、良くできたデザインとも思う。細かく見るともちろん本物の魚ではないのだが一瞬の印象で見ると魚の稚魚、特に大ぶりのシラスウナギによく似ている。

さて味の方だが、本来は温めて食べるようだけど、なんとなく開封したばかりの物を試しに味見してみたところ、予想外に美味しかったのでそのまま全部食べてしまった。たしかに一種のカニカマと言える味だが、写真の商品はオリーブオイルとガーリック風味の様で、これがなかなかイケる。全く予想していなかったのだけど、いろんな意味で一番おいしかった商品と言えるかもしれない。値段も1.7€程度。また買ってみようと思う。

以上、ヨーロッパで見かけるSurimiという謎商品についてであった。

そういえば日本ではパートタイムの事をアルバイトとも呼ぶ。これはドイツ語の”Arbeit”であり意味は「仕事」であって、有期労働契約という意味合いは一切含まれていない。多分この呼び方を始めたのは響きが新鮮でカッコイイとかいう中身のないどうでもよい理由からであろう。実に下らない理由だがこういう現象は世界中どこにでもあるようなので、我々日本人にはこのSurimiとかいう妙に真面目な表現を使ったヨーロッパ人の感性を笑う資格はないと思ったりした。

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