飢死にたくなければストリッパーになれ?

つい先日とあるニュースがルクセンブルク内を駆け巡った。あまりにも馬鹿げた事だったので今や海外にも配信されているようだ。何かというとADEMという、日本の職業安定所と同じ役割を持つお役所機関がアホなことをしでかした。日本でもそうだが大抵どこの欧米先進国でも職にありつけなかったり病気やその他の理由で就職ができずに収入がないときは生活補助を受け取ることができる。そのような補助を受ける条件として一定の働く能力のある受給者は受給期間は就職活動をする義務があり、ルクセンブルクでも同じである。ここでは先ほども言ったADEMと呼ばれるお役所機関が仕事を斡旋しており、ADEMから送られてくる求人情報には(受かる受からないは別として)必ず応募しなければ成らない。でなければ受給資格がなくなるからだ。

んで、今回騒動になったのは、なんとこのADEMがダンス講師経験のある女性の生活保護受給者に対して次のような求人情報を送りつけ、いつもの通りお役所的に応募せよと要請したことについてである。


この書面が意味することは、「ストリップダンサーの求人に応募せよ、でなければ生活保護を打ち切る」である。お役所仕事もここまでくると全く何が起きているのか意味不明であろう。まるで裏社会での人身売買に準ずる様な雰囲気ではないか。これらADEMから紹介される求人情報は受給者の履歴書等と関連あるものが選ばれており、各担当職員が目を通しているはずだが・・・

と言うかそもそも公的機関が自前の求人情報データベースにストリップダンサー求人を登録している事自体が既に何か変ではないか?またこんな求人情報をADEMに登録する企業(?)もまた何か感性がずれている。

なんでこんなことになっているかの正確な情報はない。ただ私の見解としてはいくつか心当たりというか原因となった下地のようなものはなんとなく想像できる。

まず、ルクセンブルクではストリップクラブだけで無く売春も合法である。これを知ったときはやや驚いたがどうやら本当のことである。そのため今回の騒動を起こしたADEM職員の仕事具合も正式には「違法」では無い。が、当然モラルというか常識的感性からしてこれが変なのは言うまでも無く、各方面から非難轟々である。

あと、はっきりと裏付けの取れる統計はまだない一方、肌感覚として感じているのが過去10年の間にルクセンブルクの高給を夢見てやってくる下級階層の移住者が職探しで四苦八苦している事である。ルクセンブルクでは求人数自体はそこそこあり失業率は低い。むしろここ最近は以前よりさらに失業者が減ってきているようだ。しかし問題は以前のようにそこそこ良い給料の仕事が少なくなっており、物価上昇の一方、下級階層の人口増加により彼らの職と給与水準が厳しい競争にさらされていることにある。どんなに仕事が多くても東京都心部以上の給与がなければ移住者にとってルクセンブルクで自分の家を買うなどまず不可能である。一方これら技能も能力も限られている下級階層の移住者向けの求人情報の質はそれほど良く無いし、さらに悪くなり続けている印象である。普段ADEMで働いている職員はこういう下級階層に関する案件を数多く捌いているはずなので、彼ら彼女らの性格も荒んでくるのは言うまでもない。高給を望むくせに平均以下の能力しかない、自己矛盾した連中の中には全員とは言わないが人間的にダメな連中も多いのは事実である。毎日こういう連中を相手にすることでどこか荒れた感性をもつに至った職員が「違法でない」ということを理由に明らかにアホな判断をしてしまったのだろう、と勝手に想像している次第である。

先ほども書いたがルクセンブルクへの移住者は増えており、経済活性化という理由づけで政府もそれを後押ししているがこれには批判も多い。おかしな連中が日々増えている一方、ルクセンブルク内部の雰囲気や質が以前と比べて明らかに落ちてきているからだ。今回の馬鹿げた騒動もその結果の一面であると私は感じている。無理な移民や移住者はそこの地域のそれまであった良き生活環境をぶち壊すことはドイツでも北欧でも起きていることなのにルクセンブルクでもほぼ同じようなことが現在進行中である。ああ、もちろん日本でも全く同じことが起きていますよね。

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